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「話したいことがあるの。明日、三時にいつものカフェに来て」  そう言って昨日、由香は聡介を電話で呼び出した。  彼とは、数年の交際を経て、最近ようやく婚約をしたばかりであった。しかし、この選択に、由香は自信がなくなってきていた。聡介の優しさは知っている。もしかしたら、長年交際している責任感からプロポーズをしたのかもしれない。もしそうなら、由香にとっても聡介にとっても、よい選択とは言えないだろう。少なくとも、由香は本当に自分じゃないとだめだとおもってくれる人と結婚したいと思っている。今なら、まだ、引き返せる。  そんな思いを抱え、由香はカフェへと続く大通りへ出た。
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