2 糸の端

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だが、その嬉しさマックスのテンションを、なぜか分かち合いたくなって しまったのだ。 だって、「090」と「080」の違いだけだぞ。 しかも、僕の偶然の間違いを許してくれた上に、心配までしてくれた。 これを単なる偶然にしてしまっていいのか、自分! 人間、テンションが壊れると、思考も壊れるものなのかもしれない。 だからこの時の大祐は、こんな思いに突き動かされるように、 完全に浮かれたままで再びあの電話番号に報告電話を掛けていた。 けど、今から考えると随分と大胆な事したなぁ。 歯磨きをしつつ、寝癖頭に寝ぼけ面の鏡の中の自分に改めて思う。 第一よく考えたら、携番の頭の三桁だけが違う番号なんて有り得て 当然だもんな。 そして、「今更」という冷静な自分とは別に、「しかし」と大祐は思う。 もちろん、わざわざ報告電話など必要なかったのは十分わかっている。 それに、あの時の彼に下心が全くなかったといえば嘘になる。 正直、誰かとあの喜びを分かち合うならば、女性の声を聞きたいと思った。 そして、慌てていたにも関わらず、どこか耳に残ったあの声で「良かった」と言って欲しかったとも思う。
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