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だが、その嬉しさマックスのテンションを、なぜか分かち合いたくなって
しまったのだ。
だって、「090」と「080」の違いだけだぞ。
しかも、僕の偶然の間違いを許してくれた上に、心配までしてくれた。
これを単なる偶然にしてしまっていいのか、自分!
人間、テンションが壊れると、思考も壊れるものなのかもしれない。
だからこの時の大祐は、こんな思いに突き動かされるように、
完全に浮かれたままで再びあの電話番号に報告電話を掛けていた。
けど、今から考えると随分と大胆な事したなぁ。
歯磨きをしつつ、寝癖頭に寝ぼけ面の鏡の中の自分に改めて思う。
第一よく考えたら、携番の頭の三桁だけが違う番号なんて有り得て
当然だもんな。
そして、「今更」という冷静な自分とは別に、「しかし」と大祐は思う。
もちろん、わざわざ報告電話など必要なかったのは十分わかっている。
それに、あの時の彼に下心が全くなかったといえば嘘になる。
正直、誰かとあの喜びを分かち合うならば、女性の声を聞きたいと思った。
そして、慌てていたにも関わらず、どこか耳に残ったあの声で「良かった」と言って欲しかったとも思う。
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