4 小雨の駐輪場

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4 小雨の駐輪場

コンペの結果が出るまでの二日間は、まさしく斬首刑を待つ気分。 お蔭で真友子の胃も、キリキリと絞られ続けた。 しかも、時間が経てば経つほど、今度のプラン内容は負け色が濃く見えて くる。 はぁ、ヤバい。久しぶりに、大きな(ぼこ)掘っちゃいそう。 今の仕事に慣れ始めた頃とチーフに昇格したばかりの頃は、自分の力を 過信したり、読みが甘かったりで大きな仕事で失敗をしでかして ひどく落ち込むこともあった。 そんな折は、同じような状況の独り身仲間と「(ぼこ)掘り会」と称して、傷の舐め合いみたいな痛飲をしたものだ。 しかしそれも、この数年は全くといっていいほど無縁だった。 だが、今度の仕事には嫌な予感しかしない。 しかも、先方の目論見を読み落としたという久々の痛恨のミスが致命的。 それが更に、追い討ちの打撃となる。
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