2章

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凛月side 大事を取って1日は入院したものの、体調は良く、変わった所と言えば、耳が聞こえないという事くらいだった。 あの後、病室に戻ったのだが、今までの疲れで直ぐに眠ってしまい、翌日まで全く起きなかった。夏生が一体いつ帰ったのだろうとか、気になる事はあったが取り留めて気にすることでも無いと思い、凛月は何も聞かないことにした。 そして今日、凛月は夏生の家へ引っ越す。 最初、凛月が元々住んでいたアパートに住むか移動するかで話し合いがあったが、部屋の広さ的にも夏生の家の方が広く、使い勝手も良いので結局移動することになった。 住み慣れた、思い出深い家を離れるのは名残惜しくもあったが、凛月は新しい生活に期待を寄せ、姉に誇れるように生きようと思っていた。 『凛月君、荷物はあとどれがある?』 勿論、夏生も引越しの手伝いをしてくれていた。元々物に対して執着の薄い凛月の荷物は少なかった。 しかし、最低限家具等は必要でアパートからいくつか持ってきていた。 「えーっと、、、あとこのダンボールだけです」 『OK!すぐ運ぼう!!』 夏生は相変わらず快活で、よく働いてくれた。 凛月もひ弱という訳ではなく、身長も高いし、高校では弓道部なのでそれなりに筋肉はついていた。だが、夏生は凛月を超す高身長で190cmを超えているといっていた。小中高とバスケをやっていたらしくガタイも良い。 それと比べるとどうしても自分の体が貧弱に見えて、凛月は何とも言えない敗北感を覚えていた。 「ッ!!」 「危ない!!!」 そんな考え事をしながら荷物を運んでいると、段差につまづいてしまい危うく凛月はコケるとこだった。 しかし、咄嗟に夏生が受け止め大事には至らなかった。だが、一歩間違えれば大惨事だっただろう。 「大丈夫!?」 耳が聞こえなくても、夏生が何を言ってるかは分かった。だから、素直に謝る。 「大丈夫です。すみません。ありがとうございます」 受け止められた時、一瞬フワッとコロンの香りが漂い、ドキッとした。夏生でも香水をつけるんだ、と驚き一気に大人の男である事を意識した。 (胸板も厚くて、俺とは全然違ってた、、、) 自分とは違う夏生の男の部分を見て、凛月は原因の分からない動悸に襲われた。
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