2章

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原因不明の動悸に悩まされながら、凛月はこの2日であることを考えていた。 昨日目覚めてから、今まで、凛月はずっと、コミュニケーションがとても取りづらい 、と思っていた。 耳が聞こえないとはいえ、コミュニケーションが取れないのは大きな問題だ。明日からは、予定通りいけば学校へ行くことになる。正直不安しかないし、姉がいない今、今まで通りクラスメイトと接することが出来るのかも分からない。それに加え、耳まで聞こえなくては明日はきっと地獄のような1日となるだろう。 友達が少ない訳じゃない。寧ろ《むしろ》多い位だ。 だからこそ、きっと彼らも混乱するし、何より凛月がとても辛かった。 そこで、凛月が考えた案というのが、、、 「あの夏生さん、俺手話をやってみようと思ってるんですけど、、、」 ありきたりだが、これが1番ベストな方法だろうと凛月は思った。 これから、1番長く過ごすであろう夏生にも出来たら覚えて欲しい、そう思って声をかけたのだが、、、 『いいね!!俺も一緒にやっていいかな?』 即答だった。凛月が聞くまでもなく、夏生から自分もやると申し出があり、正直ホッとしたのは内緒である。 「はい、お願いします!」 『よーし、じゃあ引越しも終わった事だし本屋でも行って良さげなヤツを探そうか!』 「そうですね、良いやつがあるといいな、、、」 『じゃ、車出すねー』 少し離れた場所にある駅前の本屋には、夕方というのもあり、仕事終わりのサラリーマンやOLが結構いた。 『へぇ、色々種類があるね』 「本当だ、迷うなぁ、、、」 棚には所狭しと本が並べてあり、目移りした。 (どれがいいんだ、、、) 夏生に聞いてみようと隣を見ると真剣な顔本を物色する夏生の横顔があった。
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