2章

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『そういや、学校ではどうするんだ?授業とか色々大変だろう。会話の手段もアプリ使うぐらいしかないし』 半ば強引に話を逸らされた気がするが、葵のことだろう、きっと大したこと無いと思い、気持ちを切り替えた。 「そうだね。実はさ、手話をやろうと思ってるんだ。それだったら、分かる人には分かるでしょ」 流石に全員がやってるとは思えないが、友人の中にはやっていると聞いたことがあるような人物もいた。 『そうか、、、だったら俺も一緒にやるよ』 「え?」 『お前だって会話が出来る奴は1人でも多い方がいいだろ!』 凛月の考えた通り、葵は助けてくれるみたいだった。 相変わらず、葵の男前さには平服するしか無かった。 「ありがとう!フフッ、これで2人目だ」 凛月は葵の優しさについ笑ってしまったようだ。 『2人目?』 葵が怪訝な顔をした。 「うん、夏生さん、、、姉さんの婚約者だった人ね。その人もやるって言ってくれたんだ。だから、2人目」 「ふーん」 葵の顔が少し険しくなった。 「?、どうしたの?」 『いや、何でもない』 と言いつつも、葵の顔は晴れない。 「本当に大丈夫?さっきから変だよ」 先程拭ったはずの不信感がまた首をもたげてきた。 『大丈夫だって!!』 「本当に?」 『あ、ほら学校着いたぞ!』 かなり無理矢理話題を変えられたが、そこで屈する凛月では無かった。大切な親友が何か思う所が有りそうなのだ。ほっとく訳にもいくまい。 「こら、話を逸ら」 『あ!!俺日直だったわ!先教室行っといてくれ!』 「あ!、、、逃げられた」 葵は風のように去っていった。 こうなってしまっては葵はなかなか口を割らないので、面倒である。 (これはチクチク尋問コースかな、、、) 凛月の中で葵にとって1番酷な判決が下された事に彼が気づくのはもう少し後である。
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