1章

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夏生side 凛月君が目覚めたと聞いて俺は走って病室へ向かった。 あの日葬式のあと凛月君は突然意識を失った。 救急車で運ばれていく彼を見て静流だけでなく彼も失うのかと思うと背筋が凍った。 だから、目覚めたと聞いて医師の話も聞かず夢中で走った。 「凛月君、、、!!」 良かった。彼まで失わずに済んで。 「大丈夫!?どこか痛い所とかは!?」 彼はキョトンとした顔でこちらを見た。 おかしい。いつもの凛月君なら「大丈夫」と言い、心配し過ぎだと笑う。それなのに今の彼は困惑したような顔でこちらをじっと見つめるだけだ。 「あの、、、」 突然彼が話し始めた。 「俺耳が聞こえないみたいなんです」 彼の声が頭の中で反芻する。 あぁ、、、、、 俺はいくつ大切なものを無くせばいいんだろう。
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