5人が本棚に入れています
本棚に追加
プロローグ
雨が降っている。
激しく降っている訳では無い、
ただそれは心に、頭に響く悲しい雨だった。
姉が死んだ。
最愛の人だった。
心に大きな虚が空いたようで風が通り抜ける。
冷たく鋭い心を抉るような風。
「姉さん、、、」
涙なんて一粒も出てこない。
感じるのは漠然とした虚無感。
こんなんで、これからどう生きたらいいのだろう、、、
「凛月君、、、」
声と共に回された手は少し震えていた。
彼は、姉さんの婚約者で夏生さん。
俺の義兄になるはずだった人。
俺と同じ愛する人を亡くした人。
「ごめんな、、、」
あんたが謝る必要なんて無いのに、、、
「静流、、、、」
なんて悲しい声なんだろう、、、
聞いてる俺が苦しくなる、、、
「ごめん」
その声を最後に俺の意識は暗転し、
次に目覚めた時
俺の世界からは音が失われていた。
最初のコメントを投稿しよう!