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ブルーのサーフボードの飾ってあったサークルの人間に声をかけられたのがきっかけだった。
『サーフィンに関わる事だけじゃなくて、海の事、全部。それが俺らの活動拠点。だから、泳ぐのも潜るのも……』
『……私、泳げない!』
ゆっきーが手を挙げて告白すると、
『泳げないやつは、眺めてるだけでもオッケー。とにかく、海の事!海が中心だから、海で思いっきり遊ばせてもらったら、お礼の気持ちも込めて砂浜もきれいにする。それも含めて海の事』
数人の仲間たちの輪の中で、自分たちのサークルについて小さな体を大きく使いながら熱弁をふるう、それが樹君だった。
真っ黒に日焼けして、渋めのアロハシャツに白のハーフパンツ。それにハワイアンジュエリーを重ねていた。ふっくらした目元に優しさがにじみ出ていて、彼の誠実さを感じさせた。
言葉が強いわけでは決してないのに、樹君はいつも輪の中心で、ムードメーカ的な存在だった。
初めて参加した、彼らが主催のバーベキューでも、私たちを一番に気遣ってくれて、
『この輪の中の一人だって、つまらない思いをして返すのは、オレはイヤなんだ』
樹君は良くそう言っていた。
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