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ファストフード店で、高校の制服のままシェイクをすする私にはなかなか共鳴することが出来なくて、上の空だった私の前歯に噛まれ続けたストローが、店を出るころには無残に潰されていて、樹君の手で、ゴミ箱に放り込まれるのだ。
「どうしたの?大丈夫?顔色良くないよ」
トイレの個室から出て来た私に、ゆっきーが鏡越しに声をかけてくる。
「……うん」
「出ないの?まじ、つらいよねー」
「…………」
違う。とは言えずに、黙って手を洗う。
不安で押しつぶされそうで、本当は泣きたい。
生理が来ないなんて、誰に、どうやって打ち明ければ良いんだろう。
『オレ、良いパパになると思うんだ……』
樹君の言葉が、頭の中でリフレインしている。でも、そんな言葉が聞きたいわけじゃない。そんなことを望んでいた訳じゃない。
でももしそうだったら、このまま生理が来なかったら、一体、私はどうなってしまうんだろう。未来が、自分のこの先の未来が、樹君の笑顔に閉ざされてしまうように思えた。
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