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「藍ちゃんは?付属の大学に行くの?って行くんだろうな。それ目当てで入ってるんだろうし」
「…………」
おじさんにアイスもらいに来ただけなのに、なんでこんな深刻な話しなくちゃいけないんだろう……ってか、初対面なのに、ずかずか踏み込んで欲しくない。でも、関係ない人にだからこそ出て来る本音。
「たぶん、行かないと思います……ってか、行けないと思う。私の成績、深海魚だから」
君には分からないと思うけど。深海魚の気持ちなんか。惨めにならないように、前を向いて話していたはずなのに、どうしてもうつむいてしまう。まだ吹っ切れていないことを、初対面の人に話すって結構、しんどい。
「見かけによらず、たくましいんだね」
「た、たくましい?」
それって、皮肉?
「だって、あの学校ってほとんどの子が付属に入るんでしょ?その輪を抜けるって、相当の覚悟がいるんじゃないの。そういう、空気乱すようなことが好きじゃないようなタイプに見えたから。意外」
何、この人。ずばずば当ててくる。わあ。やばい。目が熱い。泣きそうだ。
「たくましいわけじゃ……成績が悪くて行けないってだけだし……」
「それが本音なら、成績残すために必死になれたんじゃないの?」
ばっさりくるな、この人。でも、そうかもしれない。本気になれば、あと少し成績上げて、無難に女子大生になれたのかもしれない。それが出来なかったのは、きっと、
「……迷ってたのかもしれない、私」
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