他力本願

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「だって、女性だけのところに、いくら親しいからって……かといって、こっちに居られるのも……ああ、サイアク……母ちゃん、そんなこと何も言ってなかった」 「ごめんね、私が急にこっちに来たから」 「いや、そもそも涼平がそっちの家にお邪魔させてもらってんだから、文句なんか言えた義理じゃないよ。かえって、ごめんね」 そうは言いつつ、髪を掻き毟り、肩を落とす北斗君。 「……仲、悪いの?」 「涼平と?あーもう。絶対ムリ!」 「どこが」 「どこがって……合うように見える?逆に聞くけど」 「ああ……うん……」 「……だから帰りたくなかったんだよね」 東京で、友達とルームシェアしていたのが、夏休み中はルームメイトが、遠距離の彼女を泊めるので、遠慮してこっちに帰って来たのだという。 「帰って来なきゃ良かったかな……」 「そんなに嫌なの?」 ちょっと腹が立つ。涼ちゃんのこと、そんなに邪魔にしなくても良いのに。 「面倒くさいんだよ、あいつ……」 今度は大きなため息をつく。
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