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「……涼ちゃんは、ちょっとぶっきらぼうなところがあるけど……わかりにくい時もあるんだけど、優しいんだよ、本当は……うん、わかりにくいんだけどね」
ようやく真中を食べ終えて飲み込んだ。私の手に残っていたゴミを受け取りながら、北斗君が笑う。
「なんだよ、やっぱり藍ちゃんも涼平派、か」
「派ってことはないけど、ちっちゃい頃から知ってるから」
「みんなそう言うんだよね……このあたりの人、みんな。もう慣れたけどさ……結局、僕はいつまで経ってもアウェーなんだよね、ここじゃ」
そう漏らした北斗君が、ちょっと寂しそうに見えた。
しばらくすると、涼ちゃんのブルーのトラックが見えてきた。しゃがんでいた北斗君は、おもむろに立ち上がると店の中に引っ込んで、私は思わず駆け寄った。
「あぶねえな!停まる前に近寄ってくんなよ、ばーか!」
運転席から、早速怒鳴られる私。怖いけれど、居心地が良いのはなぜだろう。
「ねえ、もう行ける?早く行こうよ」
「うるせえな、行くって」
シートベルトを外して、運転席から飛び降りて、ひっぱたくようにして乱暴にドアを閉めた。
「早く行こうよ」
「わかってるって、うるせえな!」
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