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「ごめん……あの……じゃあ、やっぱり、北斗君に連れてってもらった方が良い?」
「なんで俺に聞くの?好きにすれば良いじゃん」
「だって……約束したじゃん」
「……約束」
少しだけ涼ちゃんが笑った。それも薄く、冷たく。
「……わかったよ。シャワー浴びて、飯食ったら行く」
「うん」
廊下を渡ってお風呂場に向かう涼ちゃんの背中は、とても疲れているように見えた。この暑さと、肉体労働のせいだけではなくて、何か精神的なもののようにも見えた。
お風呂場のドアを開ける直前、涼ちゃんが汗で濡れたTシャツを剥がすように脱いだ。
あらわになった鎖骨の下にあざのようなものが見えた。それは赤黒く、まるで、彼は自分のものだと声高に主張しているようなキスマークだった。
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