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もうすぐ二時半になる。
「遅い……」
制服のままでうろうろするのは気が引けたけれど、もう、究極に退屈だ。
おじさんのところにでも行ってみよう。アイスでもくれるかもしれない。そんな期待を携えて、一階に下りてドアを細く開けておばあちゃんの様子をみると、みんなまじめにやっている。おばあちゃんはそんな様子に目を細めていた。
「おばあちゃん……」
そう声をかけようとして、奥にいたふたりの子供の様子が目に留まった。
女の子の広げたノートを食い入るように見つめては、自分のノートに書き写している男の子。盗み見ているのかと思いきや、ぼそぼそと言葉を交わして、どうやら一緒に考えているらしい。
終始、ふたりの小さな身体はくっついていて、寄り添い、お互いのバランスを取っている。
そのやり取りがどことなく、ちいさかったころの涼ちゃんと私に似ているように感じた。
お互いへの意識はゼロで、だからこそ成り立っていたのかもしれないけど、気づいたらいつも涼ちゃんが横に居た。
あのままずっと一緒にいたら、私たち、どうなっていたんだろう。
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