降ってきた少女

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「魔法使いって何だい? 君はどうして村に来たんだい?」 「魔法使いというのは自然の力を操作して魔法を使う人のことを言うの。例えばこの霧を氷に変えたり、風を利用して空を飛んだり。私は空を飛んで旅をしていたんだけど、どうやらここの上空は気流がおかしいのか、操作を誤ってこの村に落ちてきてしまったようなの」  クトリの発言にバンは違和感を覚えたものの、初めて聞く言葉に胸が高まった。 「空っていうのは外の世界のことかい? 君は飛べるんだね! それは凄い! どうやって飛ぶのか見せてもらえるかい?」  クトリがまだ警戒しているのはバンにも分かっていたが、好奇心を抑えることができないのだ。 「ふふっ、空というのは外に広がる世界のことよ。見せるのはいいけど、箒がないと空は飛べないわ」  バンの態度を見てクトリは初めて表情を和らげた。 「箒というのはさっき君が飛んできた時に跨いでいたやつかい? ちょっと待ってて」  バンはそう言ってその場を離れるのだった。  一分もしないうちにバンはクトリの箒を持って戻ってきたが、クトリの近くに来た時に彼女の様子がおかしいことに気付いたのだった。 「君、大丈夫かっ?」  バンは霧の中でうずくまっているクトリの肩を掴む。 「ごめんなさい、少し安心したら急に痛みが……」  クトリの足首は腫れ上がり熱を持っていたのだった。 「大変だ、どうしよう。とにかく僕に掴まって」  バンはそう言ってクトリに肩を貸し、近くにある自分の家へと連れ帰るのだった。  バンの家は歩いてすぐの所にあったのだが、霧で見えない中を進むのはクトリにとっては想像以上に難しく不安にさせるものだった。  いきなり目の前に現れた家の扉にも驚いたが、その扉を開けた先にあった屋内が思っていたより広かったことにクトリは更に驚いていた。  家の中は霧こそなかったが、思っていたより薄暗かったため外とはまた違った意味で視界が悪かった。  クトリは反射的に魔法で火を灯す。  その光を見たバンは体が硬直し、クトリを抱えたまま崩れ落ちたのだった。
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