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私は草深い丹波の国で育ちました。子供の頃は、木登りや泳ぎが得意だったわ。
16の時、ある身分の高い方にお仕えすることになりました。
その方が大病を患われました。私は父から薬草の事を教わっていたので、看病を任される事になったんです。
その甲斐あってか病は癒え、私は貢献者として前にも増して目をかけていただくようになったのです…。
「麻子、少し話があるのだが。」
主人様が真剣な声で呼びになられました。
「そなたのように頭も良く、心優しき人は滅多におらぬ。実はな、麻子。そなたさえ良ければ中宮様にお仕えしてみないか?」
そう主人様は仰いました。
「わ…私の様な田舎育ちが宮中に!?」
宮中とは、天皇家の住処で、そこに仕えるというのは、女中にとってこの上ない名誉なのでございます…
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