はぐれた狼の話

14/29
前へ
/29ページ
次へ
 すき、と唇だけで呟くと、大樹は頬を更に緩めて、白い歯を見せた。耳をくすぐっていた指が、頬を伝って、指の腹で唇をなぞった。まるで、キスされてるみたいだ、とテオドロスはうっとりと目を閉じた。頭の片隅で、彼は愛した女性にも、同じようにするのだろうかと思った。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加