はぐれた狼の話
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すき、と唇だけで呟くと、大樹は頬を更に緩めて、白い歯を見せた。耳をくすぐっていた指が、頬を伝って、指の腹で唇をなぞった。まるで、キスされてるみたいだ、とテオドロスはうっとりと目を閉じた。頭の片隅で、彼は愛した女性にも、同じようにするのだろうかと思った。
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