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潤んだ視界の中、大樹を見つめる。いつもは穏やかな目が欲望で少し怖いくらいなのに、凄くセクシーだとか、快楽を堪えて少し眉を寄せるところがちょっと可愛いだとか。顎を伝う汗を拭う余裕すらもなく腰を振って、ぱたぱたと汗が落ちてくるのも、全て愛おしい、なんて。
上も下も分からなくなりそうな位に快楽の波に揺らされているのに、そんな小さな一つ一つがテオドロスの心を締め付ける。
うっと小さく息を詰める声と共に、うねる内壁に大樹の欲望が叩きつけられる。それと同時に、テオドロスも果てた。内側から、未だどくどくと脈打つそれが、ずるりと抜ける。ぽっかりと、空虚感。
その体には全くと言っていいほど力がはいっていなかったが、それでもテオドロスはどろりと微笑み力の入らぬ手で大樹に縋った。彼を感じる悦びから、涙がとめどなく溢れる。
「ご主人様、もっと、もっとください」
「名前呼んでくれたら、考えようかな」
意地悪く笑って見せた大樹は、再び自身を熱く固くしていて、そんな余裕がないことは明らかだった。けれどそれ以上にテオドロスは、一分一秒足りとも待つことができず、その体に足を絡め、彼の名前を耳元で囁いた。愛する主の名前を、愛をこめて、噛み締めるように呼んだ。たったそれだけで、大樹は、満足したような笑みを浮かべて再びテオドロスをかき抱いた。
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