Prologue

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「……それじゃ、あとはお若いお二人におまかせしましょうか?」 清香おばさまは朗らかに、お見合い「あるある」の言葉を宣言して、本日のお役御免とばかりに席から立ち上がった。 ……おばさまのお席からなら、よくご覧になれますでしょ?あの方、わたくしのこと、まだ飽きもせず、ガン飛ばしまくっていらしてよ? あぁ、このときほど自分がテレパスだったらなーと思ったことはない。 なのに、非情にもお相手のご両親も(両側だからご子息のお顔がご覧になれないのかもしれないけれど) そして、うちの両親までもが席を立つではないか。 「それでは、また……」とか言って、父親が向こうのご両親に挨拶している。 ……パパ、お相手のお顔を見たら「また」なんて無いの、わかるでしょ!? 「彩乃、あちらさまに粗相のないようにね」 ……ママ、わたしの母親を何年やってるの? もうお相手にとっては「粗相」だらけなのよっ。 とりあえず、わたしも立ち上がって、この場から辞去される方々に丁寧にお辞儀をした。
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