プライベートルームで補充してます

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今日の業務が終了したので、言われていたようにプライベートルームへ行く。 ノックすると副社長の声が聞こえた。 すっかり慣れた手つきでカードキーを差し込み、ピッという解錠の音でドアを開ける。 「……今日はこれから接待で会食でしょ?」 ここからは「将吾さん」になった彼に尋ねる。 「ああ、そうだ」 ソファに腰かけてタブレットを操作していた将吾さんが、顔も上げず答える。 「美味(おい)しいものが食べられていいなぁ」 特に今日出向く先は、政治家たちも御用達の一流料亭だ。わたしは急がなければ、と足早にワードローブまで行き、中を確認する。 「ねぇ、補充するものって、なに? ……ワイシャツも…下着のシャツもあるし。 ……あっ、ソックスかな?」 わたしが振り向くと、そこに将吾さんがいた。 ニヤッといたずらっ子のように笑ったかと思うと、いきなり肩を引き寄せられて、すっぽり彼の腕の中に入ってしまう。 「……どうしたの?」 わたしは将吾さんを見上げた。
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