とりあえず、身ひとつで参ります

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食後に戻った自分の部屋で、わたしは脱力していた。 これから「家族」になるとはいえ、「他人」の家に一人だけ放り込まれるのが、これほど気を張るものだとは思わなかった。 考えてみれば、わたしはこの家では転入生のようなものだ。しかも、クラス替えのない…… そんなことを考えていたら、自分の生まれ育った家がひたすら恋しくなってきた。 なので、気分転換にお風呂に入ろう、と思った。 さすが「迎賓館」だけあって、ベッドルームという名がつくこの部屋には、バスタブとトイレのあるバスルームが併設されていると聞いていた。 わたしは部屋の左側にある扉を開けようとした。
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