酔った勢いで素直になってます

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部屋の中はフロアライトのムーディーなオレンジの灯りだけだった。 将吾さんがわたしの部屋でのように、ベッドスプレッドとブランケットを(めく)って(いざな)ってくれる。 「……お邪魔します」 わたしがそう言うと、ノートPCとブルーライトカットの眼鏡をサイドテーブルに片していた将吾さんがくくっ、と笑った。 ……だって、このベッドでは初めてなんだもん。 わたしはベッドに入って、将吾さんの隣に座った。将吾さんが、してやったりのドヤ顔でニヤリと笑う。 「ようこそ……おれのベッドへ」 そして、わたしをすっぽり包み込むように抱きしめた。 こんなことされたら……悪口も、文句も、なにも言えなくなっちゃうじゃん。 ……いや、素直になりましょう。 わたしは、こうしてほしくて来たのだ。 本当は、今日は一人で眠りにつきたくなかったのだ。 そう、今夜こそ……こんなふうに将吾さんに抱きしめられて、眠りたかったのだ。
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