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将吾さんから、貪るようなキスが降ってくるのを期待……じゃなくて「覚悟」した。
……が、なにもなかった。
将吾さんは、わたしを見つめたままだった。
それどころか……
「……今日、同じテーブルだったおまえの親戚の上條ってヤツのさ」
……はぁ? なんで突然、大地の話?
「ヤツの奥さんをさ……どっかで見たことがあるはずなんだが、どうしても思い出せないんだ」
将吾さんは、もう少しで思い出せそうなのにできないでいるときの気持ちの悪い顔をしていた。
……なんで、こんなときに亜湖さんのことを思い出してんのよっ。
確かに、亜湖さんは日本人形のように美しくて儚げだから、外国の血が入った人には特に魅力的かもしれないけどもっ!
わたしは明らかにムッとした顔になった。
将吾さんはまた満足げに、してやったりのドヤ顔になった。
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