副社長の専属秘書の仕事やってます

3/12
前へ
/541ページ
次へ
「『遊ぶ相手には不自由してないが、その中には結婚相手になるような人はいない。 妹が結婚するし、自分もちゃんとした相手と出会いたいから見合いするのだ。 学生時代から知ってるきみのお姉さんとは、今さら恋愛感情は抱けない。 それに、別に君のお父さんに頼らなくても自分なら出世できるから、そんな余計な心配はしなくていい』と、きっぱり言われました」 「「えーっ!? なぁに、それっ!?」」 わたしと誠子さんがどよめいた。 ……かなり「俺様」な匂いのする相手だな。 「七海と結婚したら、その『遊ぶ相手』っていうオンナが『愛人一直線』になるんじゃないのっ!?」 誠子さんがサーモスとANAのコラボで、機内販売でないとなかなか手に入らない激レアのケータイマグを握りしめて叫んだ。 なんでも、彼女のお母さんがANAに乗ったときにたまたま販売していて、ほかの人たちが買ってるのにつられてよくわからずに購入したあと、しまい込んでいたのを「発掘」したらしい。 「……で、七海ちゃんはそれを聞いて、なんて返したの?」 わたしはサーモスとスタバのコラボの「SAKURAシリーズ」のケータイマグのお茶を飲んだ。今日はプーアル茶だ。 「『あたしは、たとえお見合いであっても、やっぱり好きになった人と結婚したい』って。 『そして、結婚したからには自分一人を愛してもらって幸せになりたい』って言いました。 ……そしたら」 ……そしたら? 「『わかった……じゃあ、まず、ちゃんと恋をするところからはじめよう』と言われました」
/541ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8179人が本棚に入れています
本棚に追加