副社長の専属秘書の仕事やってます

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「あの……彩乃さん、お昼休憩に聞きたくて訊けなかったことなんですが。今後の参考にしたいなぁと思って訊きますけど」 七海ちゃんが上目遣いでおずおずと尋ねてくる。 ……同性のわたしでもかわいい~って思えるから、お見合いの相手もきっと堕ちるだろうな。 「副社長って、海外の血が入ってるじゃないですか? ……やっぱり、二人っきりのときは日本人の男性ではこっ恥ずかしくて絶対言えない、きゅん♡ってさせてくれるような甘々な言葉を言ってくれるんですよね?」 「はぁ!?」 わたしは素っ頓狂な声を上げてしまった。 「な…ない、ない、ないって」 目の前で手のひらを全力で振って否定する。 「彩乃、顔が真っ赤になって……それが答えになってるわよ」 誓子さんが呆れたように言った。 「いやいやいや……本当にないんですって」 そういえば、甘々な言葉どころか、普通の日本男子ですら言うようなことも言われたことないぞ。 「好き」も、「愛してる」も、プロポーズの言葉すらなかったんだから…… ……将吾さんはわたしのこと、本当はどう思ってるんだろう? やっぱり、会社の今後のために、わたしとの「政略結婚」を成功させたいだけじゃないのかな……? わたしの赤かった頬が……いつの間にか、青ざめていった。
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