突然の辞令で彼の会社へ出向します

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「うちのグループにも金融機関はあるが、所詮、サラ金を買収して『ファイナンス』って名前に変えて『信販会社』に格上げしたに過ぎない。 あんたんちみたいな、生粋の『銀行』さんのようなブランド力にも社会的信頼にも欠ける」 副社長は自嘲するように言う。 「確かに……うちの会社はあんたのことを、喉から手が出るほど……ほしい」 副社長はそう言って、わたしをまっすぐに見つめた。 「うちのグループだって、銀行の方はグローバル化に伴って国際競争力が試されています。 証券の方はやネット証券が台頭しているし、保険の方は医療保険を突破口に外資が攻勢をかけています」 わたしの言葉に、副社長が目を細める。 「世界にのし上がるために自動車産業で培われたあなたたちの国際競争力が、うちのグループにとっての『ライフライン』になるかもしれません」
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