イケメン秘書と婚約指輪を選びます

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゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚ その週の金曜日の終業後、わたしがPCをシャットダウンし自分のデスクを片付けていたら、執務室から島村さんが出てきた。 「副社長の社用車を使わせてくれるそうです。 どうせ、今夜はしばらくここから出られませんから」 島村さんはコートもブリーフケースもすでに手に持っていた。 コートはバーバリーの黒のステンカラーコート、同じく黒のブリーフケースはオーソドックスな形ながら独特の皮の風合いから、ココマイスターのブライドル・バンガーブリーフだろう。 わたしもあわてて、デスクの一番下の段に入れたバッグを取り出した。 エルメスのルビー色のボリード31だ。 通勤用にヘビーユーズするつもりで購入したので、素材は傷が目立たないトリヨン・クレマンスである。 あさひJPNフィナンシャルグループに入社して一年ほどたった頃、たまたま立ち寄ったエルメスのショップで一目惚れして、それまでの月給やボーナスからの貯金をはたいて買ったのだ。 そして、アクアスキュータムのベーシックなベージュのトレンチコートを手にして、島村さんのあとに続いた。
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