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「ただいまぁ」 家に帰ると母が玄関でニヤケながら立っていた 「なっ、によ!」 動揺を隠せない 「あんた達付き合うことになったらしいじゃん」 「えっ?」 驚いてはみたものの 空き地からは京介の家が近い 京介→おばさん→母という 恐ろしい連携プレー 「両家族ともあんた達の付き合いには大賛成だから! せいぜい期待を裏切らないように仲良くしてくださいまし」 恥ずかしすぎる 「もう、知らないっ」 バタバタと足音を鳴らし 2階に駆け上がった 京介のお喋り! ギッタンギッタンのボッコボコにしてやる 枕に顔をうずめ 「京介のばかぁ~~」 叫んだ そのあとは・・・ 落ち着かないまま京介を待った 18時を少し過ぎたころ トントン「茜」 予告もなく部屋に現れた京介は部屋の入り口で目を見開いた 「どうした?パネル外したのか? 寂しい部屋だな」 壁を見上げる京介は 視線を私に向けるとフワリと笑って 「茜。すっげー可愛い」 更に笑顔になった 「ちょっとやめてよっ そういうの恥ずかしいじゃん」 頬に熱が集まってきた 「だって可愛い茜に可愛いって言って何が悪い」 『攻めるから』と言った京介の言葉を思い出した いちいち取り合ってたら身が持たない 出来るだけ平常心を保とうと 背筋を伸ばす 「茜。どこ行きたい? ほら、俺達グラウンドと部屋と学校しか知らねーじゃん? 行きたいとこ言ってみ どこでも連れてってやるよ」 「特に思いつかないよ こういうのって男の子が考えることでしょ? 私に振らないでよ」 「じゃあ教会に行って結婚式挙げるか」 得意そうに言うとケラケラと笑う 「馬鹿じゃないの?あんたやっぱ馬鹿だね」 呆れて鼻で笑ったら 「茜と結婚できるなら馬鹿で良いよ」 ギュッと抱きしめられた 長年一緒にやってきたけど 抱きしめられたことなんてない 汗臭いって笑い合ったことはあるけど それとは違う京介のニオイをこんな近くで感じたことない ドキドキして息を吐きすぎ クラッとして座り込んだ 「おい茜、大丈夫か?」 「大丈夫じゃない。 あんた攻め過ぎ、私もう無理」 「どうした?俺に惚れたなぁ?こいつ」 見上げた私の頭を撫でてフッと笑う京介 変わらないこのプラス思考は嫌いじゃない 「茜、ほら行くぞ」 差し出された手を 躊躇いがちに掴んだ
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