第1章:鬼

2/3
前へ
/3ページ
次へ
ある山に古びた小屋があった。その小屋には、古くから赤鬼が住んでいた。名をカイ鬼と言った。カイ鬼は友が居なかった。 いつも1人で散策をし、木の実を食べて生きてきた。鬼は人肉を食べるものだと人間界で言われているが、実は違う。人間は、心に恨みや憎しみを持つ。鬼が人肉を食うと、人間の汚れた心を食べてしまい、鬼は鬼で無くなり遂には、鬼人になってしまう。そう代々言われてきた事だ。 「あぁ、最近…肉食ってねーな……」 時は冬になり鬼にとっても寒いものは寒い。山の生き物達も身を隠し、冬眠をしている。 1年分の木の実を小屋に置いてはいるが…無くなるのも時間の問題だろう……。体も細くなり、己が徐々に弱ってきていることも自覚している。 暖もあまり取れない中、散策の時に見つけたボロの布切れを、体に巻き付け暖を取りつつカイ鬼は、眠りについた。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加