運命の人

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2019年4月8日 東京都内 今日の天気は晴天だと言ってたのに、午前8時過ぎ突然大雪が降り出した。 観測史上初の異常気象だ。 テレビは春の雪まつり、満開の桜と雪。通勤通学ラッシュ、生中継を結んでハプニングや、混乱ぶりを放送している。 お祭り状態のテレビには目もくれず、ベットに腰をかけてスマホをじっと見つめている男。 大学3回生 田中 潤(たなか じゅん) 何かの念が通じたのかスマホが鳴り出した。 「おっ、何だよ」 「あはは、びっくりしただろ。告ったのか」 幼稚園からの悪友 三上 智(みかみ さとし)だった。 「今何時だと思ってるんだよ、まだに決まってるだろ」 「あのさ、指輪は重いぞ。やっぱやめとけ」 テーブルの上の、ピンクのジュエリーケースを手に取った潤。 スウェード調 の肌触りがいい蓋をパカっと開けて見た。小さなダイヤがついた金の指輪。 指輪のサイズがわからず、智に助けてもらったっけな。 幸子がつけているところを想像して、にやける潤。 「おーい。聞いてるのか。付き合ってくださいって言うだけだろ」 「ああ。だけどさー。俺にとっては付き合う人が結婚相手だからさ。運命の人に出会えたんだよ。キモいかな」 「キモいよ、寒いぞ、変態だぞ」 「変態は言い過ぎ」 「ごめん、すまん、間違えた……ド変態だわ」 「おいっやめっ」 「潤、俺だけにしか言うなよ。そんなメルヘンチックなことさ。夜は空けとくから、ヤケ酒付き合うぞ。じゃな」 「振られる前提で話すなや」 さっきまでの緊張が三上のお陰で解けた。 「あーー。指輪はやめとこう…かな」 ベットに思いっきりバタンと大の字で横になった。天井のシミも彼女の顔に見えてくる またスマホが鳴っている。 「さとしぃーまだ何か言いたいのか」 手だけ伸ばして、画面をタッチした。 「はい、ド変態の潤でーす」 「あのぉ。潤くん?」 「うわぁー」 火事だーと続きそうなぐらいの雄叫びを上げて、飛び起きた。
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