出会いと別れの繋がり、

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私の家では父親がいない。 亡くなっているというわけではなくてただ家にいないだけ。 別居、というものだ。 きっかけは多分私。 小さい頃の記憶はあまりないけれどこれだけはっきり覚えている。 父親はよく母親からお金を無断で借りていたとはなしてくれたことがある。 その話を聞いて私は自分が物知りだと得意げに思い、あたかも自分の自慢話のように… 母に言った。 言ってしまった。 すると両親は私に「そういう事は言わなくていいんだよ」といった。 やんわりとした言葉だが顔は険しかった。 目が恐ろしかったことを覚えている...。 その時、私は初めて親になんともいえない絶望感を覚えた。 その日はこころが抉られた心持ちですごしていたためか洗剤をこぼしてしまった。 さらに頭がパニックだ、破裂してしまいそうだった。 …その日からだったか。 両親は互いに距離が遠くなったきがする。 もしかしたらもっと前からだったかもしれない。 でも私が引き金を引いてしまった…そう思った。 そして父親は出ていった。 それでも離婚をしなかったのは子供のためだろうか。 それから数年、引っ越すことになった。 引越しの際父親は手伝いにきて、 (仲良く…なれたのかな) そう思い嬉しく思った。 …でも父親は別居のままであった。 そして学年があがり、いまがある。 だけど最近父親が火曜日、木曜日の母親の仕事が遅い日。 ご飯をつくりにくるようになった。 そんな日が続いた...。 ある日私が学校から帰った時、「話がある」といい深刻そうな表情で言った。 「退職してきた」 これにはとても驚いた。 …でもそれだけではなかった。 「海外にいくことにした、ついてきてほしい」 「母とは離婚する」 「母はもっといい人をみつけてほしい、そのためにパートではなく正社員になってほしい」 「出会いをもとめるときすこし障害となってしまうからはなれたほうがいい」 「日本ではお前にあっていないと思う」 近くにいた兄は賛成したそうで私に 「行った方がいいとおもうよ」 そう言った。 わたしは… 「うんいいよ、ついてく。」 そう言った。
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