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「ねえ、知ってる? 三年一組の霊の話」
「試験の答えを教えてくれるっていう、あれでしょ?」
「そう、それ。あたし、美香から聞いたんだけどね。あれ、ヤバイよ。どんな問題でも正しい答えを教えてくれるんだけどね。三回、教えてもらうと、大変なことになるんだって」
「えっ?」
「その子、ほんとは試験会場へ行きたいの。だから、自分のかわりに教室でみんなに教えてくれる子を探してるの。その子に三回教えてもらうと、つれていかれるって話だよ」
優梨は、チラッと、美香の遺影をながめた。
そう。きっと、美香はやったんだと思う。
遺品の鞄のなかには大学ノートが入っていた。美香の文字でビッシリと入試の過去問や模擬対策の問題が書かれていた。それに答える別の誰かの文字は、まるで血のように赤かったという……。
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