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「だからって、変なことしないでよ? だって、そういうのって、なんか怖いよ。幽霊でしょ? タダで答え教えてくれるっていうのも、なんか信じらんないよ」
「…………」
美香がだまりこんだのには、わけがあった。
やはり、いいウワサだけではなかったらしい。
そのとき、美香は教えてくれなかったが。
「大丈夫だよ。そんなことしないよ」と言っていたくせに、瑞季にナイショで実行したようだ。
実行するのは、教室が夕焼けにそまる放課後でなければならない。それも必ず、一人で三年一組の教室に入らないといけない。
いつも、瑞季は美香といっしょに帰るのだが、その日は美香が忘れ物をしたからさきに帰ってくれと言いだした。
「べつに待ってるけど?」
「いいよ。ちょっと、担任にもプリント渡さないといけなかったから」
「ふうん?」
「じゃあ、明日ね」
「うん。バイバイ」
おかしく思ったが、美香が急いでるようなので、そのまま見送った。
次の日から学期末テストだった。
美香はもともと頭がいい。しかし、それにしても、そのときの成績はひじょうに優秀だった。担任の教師もおどろいたほどだ。
「山田。がんばったな」
そう言って、先生から満点の答案を返された美香は、とても嬉しそうだった。
そのあと、冬休み中に模擬試験があった。
センター試験前の最後の模擬だ。
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