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学校の怪談
瑞希の学校には古い怪談がある。
三年一組の教壇に大学ノートを置いておくと、テストの答えを教えてもらえる……というのである。
教えてくれるのは、ずいぶん前にこの学校の生徒だった女の子だ。とても成績優秀で、将来を嘱望されていた。だが、運悪く、センター試験(当時は共通一次と言ったらしい)の前日、交通事故で亡くなった。
その子は三年一組の学級委員だった。めんどう見がよく、みんなに宿題の答えを教えていた。
だから、教壇に問題を書いたノートを置くと、解答を教えてくれるのだという。
「そんなの、なんの役に立つの? だって、参考書なら答え見ればいいし、ネットで調べられるし」
このウワサを教えてくれた友達の美香に対して、瑞季はそっけなく答えた。
瑞季の成績はよくも悪くもない。将来はネイリストになるという夢があるから、大学に入学する必要もない。だから、瑞季にとっては、なんの価値もない都市伝説だ。
「瑞季はいいよね。センター試験、受けないもんね」
「うん。お姉ちゃんの美容院で手伝いながら、ネイリストの資格とるんだぁ」
「いいなぁ。あたし、次の期末、いい成績とらないと推薦枠きびしいんだよね……」
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