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紛らわすように眼下のセセリ川を眺めると、少しだけ川に沿って桃色が点在している。
五分咲き、いやまだ三分くらいだろうか。
桜を眺めながら僕が考えることは、「早く満開の桜が見たい」じゃなくて、いつフウヤは僕の体に入ってくれるんだろうか、だった。
そんな僕の心中を知らないショーヤは、他の北風にフウヤを連れて行くように頼んだり、いざとなったら僕を負ぶってでも展望台に上がる、
「だから一緒に桜を見よう」なんて口にする。
何も知らないくせに。
病人の気持ちなんて知らないくせに。
僕がどれだけ辛くて、どれだけ肩身の狭い思いをしているのか。
健康で、しかも風と話ができるなんていう奇跡をすでに持っているショーヤには、全然わからないくせに。
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