ツバメと少年

可哀想な運命と引きかえに、与えられる奇跡

「フウヤ！ フウヤ！」

いつの間にか、ショーヤの呼ぶ声が僕からフウヤに変わっていた。

「大変だ！ どうしよう！ フウヤがユウスケの口の中に入っちゃったよ！」

ショーヤは真っ青になって、僕に向かってフウヤの名前を何度も叫んだ。

「ショーヤ、静かにして！」

僕はショーヤを制すると、胸に手を当ててフウヤに呼びかけた。

「フウヤ、フウヤいるの？」

けれども、何の声も聞こえない。

「フウヤは？ ユウスケ、フウヤの声が聞こえる？」

ショーヤの顔は涙と鼻水で、ぐちゃぐちゃだった。
僕は目をそらして、小さく首を振った。

「声は聞こえない。だけど、フウヤはここにいる」

呼吸は楽になったはずなのに。なぜだろう、喉も胸も痛い。
さっきとは違う苦しさが押し寄せてくる。

フウヤは「ツバメ」になってくれたんだ…
今度は僕が「少年」にならなきゃいけない。