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お父さん、お母さんへ。
僕は元気です。
北国学校での生活は、僕らの町とは違う習慣がたくさんあって最初は戸惑ったけれど、ずいぶん慣れたよ。
ここでは、ほぼ毎日雪が降ってる。どこもかしこも雪で覆われているから、生徒たちはスキーで学校へ通うんだ。信じられる?
おかげでただいま特訓の真っ最中。最近お尻の痣がやっと減ってきたところだよ。
突然、北国学校に編入したいだなんて言って、お父さんとお母さんを驚かせてごめんなさい。
だけど、僕がこうして元気でいるためには、ここで暮らすのが一番良いって送り出してくれたこと、本当に感謝しています。
それに何より、僕とショーヤの話を信じてくれたことが一番嬉しい。
「子供の言うことを信じないで、誰の言うことを信じるの?」って言ってくれたお母さん。
「いつだって、お前たちの味方だから」と言ってくれたお父さん。
本当にありがとう。
病気のせいで今までできなかったことを、ここでたくさん挑戦しようと思う!
ショーヤは口には出さないけど、本当はお母さんに甘えたり、お父さんと遊んだりしたいと思う。
だから、僕の分までショーヤをよろしくお願いします。なーんて。ちょっとは兄らしいことを言ってみたよ。
冬休みは家に戻ります。
たくましくなった僕を楽しみにしていてください。
ショーヤへ
ショーヤ、時々フウヤを感じるよ。
初めて来た場所のはずなのに、なんだかひどく懐かしくなることがあるんだ。
例えば、大空をくるくる回ったり、木々を揺らして遊んだ経験があるみたいに感じるんだ。
不思議だよね。そんなこと僕にできるわけないのにね。
君の友達を僕が奪ってしまったこと、申し訳なく思ってる。けど、後悔はしてないんだ。ごめんね。
僕は健康な体が欲しかった。それに、フウヤとも一緒にいたかった。
許してもらえないかもしれないけど。
フウヤは、ちゃんとここにいる。それだけは確かだよ。
次に会う時、また風の話をしてくれたら嬉しいな。
それまで、元気で。
ユウスケより
《了》
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