第7章 またまた迷子のわらび

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 いろいろ考えてるうちに、入り込んでしまったみたい。  いつもよりも奥にいる気がするわ。  けっこう考えてたからかな。  まあ、しょうがない。  向こうの山を目印にすれば……って、あれ? 「山が見えない……」  霧がかかっていて、いつも目印にしている山が見えない。  どうしよう。  目印がないと降りられないよ……。  あ! スマホで電話すればいいわ。  カバン、カバン、と。 「スマホ、スマホ……うわあ、家に忘れてきてる」  ど、どうしよう……。  絶望的。  ええっと……。  う~ん……。 「……まあ、なんとかなるわよね」  霧が晴れたら、山を目印にして降りたらいいだけだもの。  ……っと。 「雨!」  みるみるうちに黒くなった雲から、ぽつぽつと雨が降り出した。  制服に水玉模様ができては消える。 「ええっ、どうしよう……」  雨がきつくなってきた。  と、とりあえず……。 「避難、避難……」  急いで大きな木の根元に移動する。  まるでそれを合図にしたかのように、雨はざーざー降りに変わった。 「どうしよう……」  なんだか怖くなってきた。  私は膝を抱えて、木の下にしゃがみこんだ。
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