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雨はほぼやんだ。だけど、周りは真っ暗だ。
もちろん、向かいの山なんて見えるわけがない。
やっぱり、ここで夜を明かすしかないのかな……。
「……び……」
ん?
今、なにか聞こえたような。
「わらび! 返事しろ、このビッチ!」
え? え? なに?
誰かが私を呼んでいる。
というか、ビッチ呼ばわりされてる?
向こうでチカッとなにかが光った。
ガサガサと音がする。近づいてくる。
……なにが起こったの?
私がぽかんとしているあいだに、横の草がざざっと音を立てた。
それから、強い光に照らされた。
私は反射的に手で顔を覆った。
「……よし、わらビッチ、確保」
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