17人が本棚に入れています
本棚に追加
手をそろそろと外して見ると、そこに立っていたのは蓮子さんだった。
懐中電灯を手に持っている。
「れ、れ、蓮子さん……?」
うまく言葉にならないよ。
「まったく、このビッチはなにしてるんだ」
蓮子さんは私に向かって手を差し伸べた。
白いレインコートが夜の闇に映えている。
雨が上がったあとの草の匂いがする。
どこからか、オケラの鳴き声が聞こえてくる。
私は蓮子さんの手をぎゅっと掴んだ。
やっと、やっと助けが来てくれた。
「蓮子さ~ん……」
安心したら涙が出てきた。
最初のコメントを投稿しよう!