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「鈴掛一門を完全に潰す為です。その為に、真行寺が築いた政財界のコネクションを大々的に暴露した。」
「自分の組織を潰す?? 何の為に?!」
「思うに、紅青の目的は、真行寺を告発する事じゃない。鈴掛一門というカルト教団を、世間の目に晒す事です。」
「…どうして、そんな事をするの?」
「リセットですよ。」
「リセット!?」
「えぇ。彼は、真行寺が敷いた繋がりを、一門もろとも潰すつもりだ。」
そうして、浬は徐ろに語り始めた。
「鈴掛一門を、ここまで大きくしたのは、確かに真行寺の功績です。…だが紅青は、更にその上を行く。真行寺が敷いた人脈を足掛かりに、紅青独自のコネクションを政財界に展げていたのです。今回の騒ぎは、古い繋がりを一掃し、其処に自分の王国を築く為の…云わば、狼煙に過ぎない。鈴掛一門という巨悪を世間に知らしめ、国民の不安を煽る傍ら、それを懲らしめる正義のヒーローも、ちゃんと用意しているのです。」
「正義のヒーローって、誰??」
「日本真党の総裁、福武善治郎氏です。」
「ふ、福武総裁!? 政界のニューリーダーと言われている──あの?!」
「えぇ。野党の中でも、抜群に力のある政治家だ。紅青は彼を、次期内閣総理大臣に据えるつもりです。紅青と福武氏には、深い繋がりがある。この騒動は、彼等が仕掛けた政変劇の、序章に過ぎません。この国を根刮ぎ手に入れる為の…ほんの始まりなのです。」
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