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やがて、テーブルに前菜が運ばれて来た。
話の切っ掛けを探していた薙だったが、食事が始まるや、忽ち舌鼓を打つのに夢中になってしまう。
とにかく、何を食べても美味い。
特にメインディッシュのスズキのポアレと、鴨肉のローストは絶品だった。
あっという間に平らげて、すっかり満足したところへ、〆のデザートが運ばれて来る。
薙は思わず、感嘆の声を挙げた。
飴細工のドームを被った山葡萄のムースは、仄かな酸味とさっぱりとした清涼感が嬉しい。
贅沢なランチタイムを過ごし、暫し満腹感に浸っているところへ、一慶が徐ろに切り出した。
「わかばの園を見て、どう思った?」
ズバリと核心を突かれて、薙は神妙に本音を吐露する。
「…希美を預けるなら、こういう施設が良いなと思ったよ。自宅療養を考えていたけど、実際には難しいと痛感した。ボクが、付きっきりで看病出来るなら良いだろうけど、それは土台無理な話だもの。討伐中は、希美を独りぼっちにしてしまう事になる。」
己が浅慮に対する真面目な反省を込めて、薙は言う。それを聞いた一慶は、納得した様に小さく頷いた。
「希美を、わかばの園に預けてみるか?」
「うん…その方が、彼の為かも知れない。」
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