宵闇に堕ちて、遠いソラ

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 その手段ってのが全くもって想像ができないが、ここで渋っても時間の無駄と判断して背を伸ばして触れてみた。  柔らかい。そんな印象だ。軽く触れただけでふわりと動く。  手に納めてみれば重さが無く、気を付けて持っていないと手から抜けてしまいそうだった。 「これをどうお前に渡せばいいんだ」 『ポンってやればいいんだよ』 「ポン? ........................ポン」 『......ごめんボクの言い方が百パーセント悪かった。口だけでそう言うんじゃなくて、鉄のドア目掛けて投げてごらんって意味だよ』 「それならそうと言ってくれよ」  無駄に恥をかいてしまった。  常識的に考えれば玉を投げればぶつかって跳ね返って来ると思うだろう。でも違う結果が来る。そんな予感をしながら放り投げた。ゆったりと動いていく光の玉は鉄に遮られることなく透き通っていく。 『来た来た。残滓が来たよっ』 「......マジか」  予感はしてたものの、こう目の前でありえない現象に遭遇するとポカンとしてしまう。  それと今、残滓と呼んだのは光の玉のことか?  暗くなった部屋で少し待っていると声が飛んできた。 『お、良いモノ発見。爆弾見つけたからドアから離れてね~』 「バクっ!?」  あまりにも唐突過ぎる兵器を示す単語を聞いてすぐさま部屋の隅に跳び、耳を押さえる。  一体全体どういうことだ! 気づけばこんな謎の場所にいるし、半ば自我を失って記憶も何やら吹っ飛んでいるし、光の玉という謎の物質があるし、そこにいきなり爆――  轟音。それと共に冗談みたいに吹き飛ぶ鉄のドア。  自分のすぐ傍の壁に激突して、歪な形になってうずくまっていた。 「おい、そこ。ドアを壊すのはいいけど、それで俺も巻き込まれて死んだら元も子もないだろ」 「あ、あははは。ごめん。使い方は形状でなんとなくわかってたけど、威力が把握できてなかったんだよね」  出入り口から発する煙にまみれて現れるのは、反省の色を示した中性的な少年だった。  と思う。何故なら暗闇でよく見えないから。
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