宵闇に堕ちて、遠いソラ

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 独房を出ても宵闇が広がっていた。  目の前も見えない通路を彼の細い手に引かれて歩いている。照明代わりだった光の玉は彼曰く「使ったから無くなったよ」と消滅したことを示し。道順がわかるのか、てかさっきの爆発の音やばいだろ。と問えば「道は覚えてるから大丈夫。音は彼らには聞こえないから問題ないよ」と返ってくる。  質問する度にその分、謎が増えるのでまとめて説明を受けたいのだがそう物事はうまくいかないか。  そんなことを思っていたら、 「一旦、休憩!」  曲がったところでと彼は突然腰を下ろした。  ここら辺は視界が利かない。更にこんな不可解な現象の中だ、暗闇を前にすれば不安を抱く。そのはずなんだが不安は最低限で収まっていた。頼りなさそうな声音と細い手なのに、頼りがいのありそうな少年が近くにいるお陰か。 「何から聞きたい?」  無邪気そうな声が響いた。 「山ほどあるから、要点をまとめて順に説明してくれるとありがたいな」 「じゃあまずはここについて話すよ。ここは黄泉との境界に浮かぶ小島。死を拒む者、死を望まれない者の決定的な死を与える聖域だよ。特別な場所だからね、来たばかりの人はこの雰囲気? に影響されちゃって無意識に死ぬように洗脳されちゃって記憶とかがぐちゃぐちゃになるんだ。さっきまで君もぼーっとしてたでしょ? 大抵、会話していれば意識は戻ってくるんだけどね。それでここに来たばかりの混乱している君達を独房に閉じ込めて、来るべき時に死刑を執行する。ここはそういうところだよ」 「えーと............信じられない」 「まあそうなるよね。簡単に言えば、一部の人しか来れない生死の境目って思えばいいよ。もっとも、ここに来るほとんどの人は死ぬけど」  恐ろしい言葉を付け足して少年は続ける。
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