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言葉に関心が無さそうだった。だが、これならどうだろう。奴隷は腰に下げた袋から残り物のパンを取り出した。
「お腹空いていないか」
パンを差し出した奴隷をじっと見おろしていた子供は、少しの間考えているようだったが。しばらくすると軽い身のこなしで足場を飛び降りてきて、食べやすくちぎったパンの前で小首を傾げた。
「お食べ」
食べる真似をする奴隷をじっと見つめるだけの子供は、奴隷の笑顔に誘われるように手を出して、固いパンを口に含む。
無表情でもぐもぐと大きく口を動かしていたが、そのうちに明らかに美味しくなさそうに眉をしかめたのを、
「正直な子だ」
と奴隷は笑った。
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