魔道具修理ファイル1102

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「バジリスクだな」  僕が首を捻っていると、事も無げにドレイクさんは声を上げた。ぎょっとしてしまう。 「え!? バジリスクの魔石!? 魔力灯に!? ……変わった方ですね、これを作った方」 「曾祖父さんの友人の魔道具職人で、本当に変わった人だったらしい」  普通、携帯魔力灯程度ならば、簡単に手に入るオークかトロールの魔石を使う事が多い。出会う事の少ないバジリスクの魔石等、普通は使う訳も無かった。だから、魔力方程式が改変されていたのか、と納得もする。しかし、うーん、ともう一度唸る。 「でも、そうなると、ちょっと修理が難しいですね」 「どうして?」 「魔力方程式が変わっちゃうので、魔石は同じバジリスクの魔石を使わないといけないんです。でも、魔石屋においそれとバジリスクの魔石なんて有りませんから」  当然の事を言うと、椅子の上でドレイクさんは大きく安堵の息を吐き、破顔したようだった。 「それなら問題無い」 「え?」 「バジリスクの魔石なら、手元に有る。それも都合が良い事に、俺の魔法鞄の中にだ」 「……有るんだ」  ドレイクさんが、がさがさ、と魔法鞄を漁って取り出した魔石は、手の平大の大きな物だった。普通のバジリスクの魔石が親指大と言われているのに、有り得ない大きさだった。逆に本当にバジリスクの魔石か疑わしくて、首を傾げてしまう。ドレイクさんはそれをどう受け取ったのか、立ち上がり声を出した。
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