0人が本棚に入れています
本棚に追加
/78ページ
「はぁ……。」
ぼくは山へと続く道を一歩一歩、気だるそうにしながら歩いていく。
闇に包まれた坂道は気味が悪く空気が重たく感じた。
それとは対照的に星空は目を引くほど綺麗で、星がピカピカと光っている。
まだ夏というのに冷たい風がぴゅーと寂しげに吹いた。
ぞっと寒気がして袖を捲り上げると、そこには鳥肌がたっていた。
ぼくは袖をなおしたあと、また目の前の光景を見続けた。
「……。」
右手にはガードレールがあり、ぼくを誘導しているように延びている。
左手には草木が生えている小さな茂みがあり、ぼくの気持ちを少しでも癒そうと必死に頑張っているように見えた。
ガードレールの先には点々と光る町並みが広がっていた。
まるで神様になったみたいに優越感に浸る。
だけどその「優越感」も一瞬で消えていった。
ぼくは、今日、この先に足をすすめて、死ぬつもりなのだから……。
最初のコメントを投稿しよう!