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ぼくはガードレールへと足を進め下のほうを見る。
うねうねとした道だったので何メートル先には舗装された道路が見える。
高所恐怖症なぼくにとっては、その高さは何倍にも見えた。
一息ゆっくりと呼吸をする。
今日でやっとこのいらない命を捨てることが出来る。
やっとこの世から消えることが出来る。
もう高校一年生になってしまったけども、このまま生きていても何の意味もない。
この高さを目の当たりにすると、とても怖いけど、その怖さを乗り越えて死ぬんだ。
死ぬのが怖いなんて思ってしまったら、ぼくはもう一生、死ねないんだから……。
今日が最初で最後のチャンスなのだから……。
「よし。」
ぼくは意を決して足を一歩踏み込む。
そのとき、追い風がひゅーと強くふいた。
まるで誰かが引き止めたかのように。
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