家出人捜索

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「ええ。ある日を境に、皆が息子を無視しはじめたらしいんです。」 「原因となる出来事があったのですか?」 「息子もわからないと言っていました。朝登校したら、いきなり。」 まあ、最近の子供は、ゲーム感覚で苛めをするということを聞いたこともあるので、あり得る話だと思った。  俺はその次の日から捜査を始めた。まずは彼が通っていた中学校に聞き込みを始めた。学校に直接問い合わせをするも、生徒の個人情報に関することにはお答えできませんと、想定内の返答が返ってきた。そこで、俺は知人を介して直接その知人の子供から情報を得ることにした。  するとすぐに、不可解な事実が判明した。失踪したと言われた加藤雄太は、一年前にすでに亡くなっているというのだ。 「苛めを苦にした、自殺?」 俺は居酒屋で、知人を呼び出し、酒を酌み交わしながらもそう尋ねてみた。 「いや?苛めなどはなかったらしいが。」 「でも、母親は苛めがあったと言ったのだが。」 「そもそも、加藤雄太は病弱でほとんど学校には行ってないらしい。死因も病死だし。」 それでは、母親は何故、苛めがあったなどと言ったのだろう。 その数日後、母親が探偵事務所を訪ねて来た。 「息子が見つかりました!ご面倒をおかけしてすみませんでした。」     
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